AIの開発を外の会社に頼む契約で、請負にするか準委任にするかでもめてる。何が違うん?
【疑問】AI開発委託契約、請負と準委任のどっち?契約ガイドラインの探索的段階型・精度保証・NDA・知財の帰属【G検定】
前提のおさらい。AIのプロジェクトは、作る前にどれだけ精度が出るかが分からない。だから、PoCで小さく試して、次に進むかを判断しながら進める
>>1
民法の違いから
請負(632条):仕事を完成させることを約束して、その結果に対して報酬を払う。完成させる義務がある
準委任(656条、643条):事務の処理を任せる。完成の義務はなく、善良な管理者の注意(善管注意義務、644条)をもって処理する義務を負う
成果に対して報酬を払う形の準委任もある(648条の2)
>>3
頼む側からしたら、完成を約束してくれる請負のほうが安心やん
>>4
AIでそれをやると、受ける側が「必ずこの精度のモデルを完成させます」と約束することになる。データ次第で精度が決まるのに、それは約束しにくい
経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(2018年に公表)は、こういう事情をふまえた進め方を示してる
>>5
ガイドラインが勧めてるのが「探索的段階型」。4つの段階に分けて、段階ごとに次に進むかを決める
アセスメント:少しのデータで、モデルが作れそうかを検証する。秘密保持契約(NDA)などを結ぶ
PoC:学習用データで、求める精度のモデルが作れるかを検証する。導入検証契約などを結ぶ
開発:学習済みモデルを作る。ソフトウェア開発契約を結ぶ
追加学習:納品したモデルに追加のデータで学習させる
>>6
最初から要件を全部決めるウォーターフォール形式とは違って、試行錯誤を前提にしてる。途中で十分な精度が出ないと分かったら、次の段階に進まないことで損を広げずにすむ
>>7
精度は全然約束せんでええの?それやと頼む側が不安すぎる
>>8
まだ見ていないデータでの精度を保証するのは難しい、というのがガイドラインの考え方。そのかわり、決めた評価用のデータでどれだけ出すか、のように範囲を決めて合意する、各段階の目標を明確にする、といった方法で認識をすりあわせる
知財の帰属も論点。学習用データセット、学習済みモデル、そのパラメータ、推論のプログラムなど、成果物が細かく分かれる
ガイドラインでは、誰のものにするかだけで決めず、誰がどこまで使えるか(利用条件)を細かく決めることで、両方の利益を調整する考え方が示されてる
>>10
頼む側が「お金を払ったんやから全部うちのもの」と言うと、受ける側は他の仕事にノウハウを使えなくなる。受ける側が全部持つと、頼む側は追加学習を他社に頼めなくなる。どっちに寄せても不満が出るから、利用条件で分けるわけやな
管理人のひとこと
- 請負(632条)は完成に対して報酬を払い、完成の義務がある。準委任(656条)は事務の処理を任せ、善管注意義務(644条)を負う。成果に報酬を払う準委任もある(648条の2)。
- 契約ガイドライン(2018年に公表)は、アセスメント(NDAなど)・PoC(導入検証契約など)・開発(ソフトウェア開発契約)・追加学習の4段階に分ける探索的段階型を勧める。
- まだ見ていないデータでの精度の保証は難しく、評価用のデータや段階ごとの目標を決めて認識をすりあわせる。
- 知財は、学習用データセット・学習済みモデル・パラメータなどに分かれる。帰属だけでなく利用条件を細かく決めて利益を調整する考え方が示されている。