学習用のデータや学習済みモデルは、特許を取らんでも法律で守られるん?不正競争防止法と独占禁止法も出てくる
【疑問】不正競争防止法の営業秘密・限定提供データと、独占禁止法の競争制限・公正競争阻害性【G検定】
前提のおさらい。特許権は、出願して審査を受け、登録されて初めて発生する。出願から1年6か月たつと内容が公開される。公開したくなければ、出願せずに秘密として守る選択もある
>>1
秘密として守る道が、不正競争防止法の営業秘密(2条6項)
定義は「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」。ここから3つの要件が読める
秘密管理性:秘密として管理されている
有用性:事業に役立つ
非公知性:公然と知られていない
>>3
社内の共有フォルダに学習データを置いてるだけでも、営業秘密になるん?
>>4
誰でも見られる状態で「秘密」の表示もないなら、秘密管理性を認めてもらうのは難しいと考えられる。アクセスできる人を絞る、秘密であることを示す、などの管理が要る
守られると、不正に取得されたり使われたりしたときに、差止め(3条)や損害賠償(4条)を求められる。悪質なものには刑事罰(21条)もある
>>2
特許との違いもある。特許は、他の人が自分で同じ発明にたどり着いても使わせない強い権利。営業秘密は、他の人が自分で独自に作ったものまでは止められん
限定提供データ(2条7項)は、秘密にはせず、決まった相手にだけ提供するデータを守る仕組み
業として特定の者に提供する(限定提供性)
電磁的方法で相当量蓄積されている(相当蓄積性)
ID・パスワードなどで管理されている(電磁的管理性)
営業秘密に当たるものは除く。会員向けに売っている学習用データセットなどが想定される
>>7
営業秘密と同じくらい強く守られるん?
>>8
差止めや損害賠償は求められる。ただ、営業秘密の侵害には刑事罰の規定があるのに対して、限定提供データの不正取得などには刑事罰の規定がない、という違いがある
独占禁止法は、競争を守る法律。事業者は、私的独占と不当な取引制限をしてはならず(3条)、不公正な取引方法を用いてはならない(19条)
私的独占と不当な取引制限(カルテルなど)は、一定の取引分野の競争を実質的に制限すること(競争制限)が要件
不公正な取引方法は、公正な競争を阻害するおそれ(公正競争阻害性)があれば足りる
>>10
AIで論点になってるのは、たとえば
競合する会社が同じ価格決めのアルゴリズムを使って、結果として価格がそろってしまう場合、カルテルとどう区別するか
大量のデータを持つ事業者が、データを囲いこんで他の事業者が参入できなくなる場合
こういう点は、公正取引委員会の報告書などで議論されてる段階で、決まった答えがあるわけやない
管理人のひとこと
- 営業秘密(2条6項)の3要件は、秘密管理性・有用性・非公知性。守られると差止め(3条)や損害賠償(4条)を求められ、悪質なものには刑事罰(21条)もある。
- 特許は独自に同じ発明をした人にも及ぶが、営業秘密は独自に作られたものまでは止められない。
- 限定提供データ(2条7項)は、特定の者に提供し、電磁的方法で相当量蓄積され、ID・パスワードなどで管理されているデータ(営業秘密は除く)。刑事罰の規定はない。
- 独占禁止法の私的独占・不当な取引制限は競争制限、不公正な取引方法は公正競争阻害性が要件。アルゴリズムによる価格の一致やデータの囲いこみは議論されている段階。